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もし、痛くなったらどうしよう
もし、動けなくなったらどうしよう
もし、何も出来なくなったら、どうしよう
もし、誰も助けてくれなかったら、どうしよう
もし、うまくいかなかったら、どうしよう
もし、失敗してしまったら、どうしよう
もし、予想外のことが起こったらどうしよう
どうしよう、どうしょう、どーしよう~
僕たちはしゅちゅう“不安”につかまります。
心をぎゅっと鷲掴みにされてしまいます。
そしていったんこの“不安”につかまってしまうと、なかなか身動きが
取れなくなってしまいます。
よけい不安になり、そして頭のなかで堂々巡りが起こります。
僕たちはどうしてこんなに“不安”を感じるのだろう?
そもそも“不安”って何なんだろう?
この“不安”という感情を正面からじっくりと味わってみる。
実はこの“不安”というもの、これがあったから僕たち人類は生き残って
こられたのです。
僕たちのご先祖さまが、まだ石槍と弓をもって獲物を追いかけたり、
森の中で木の実を拾って生きていた時代、この“不安”がご先祖様たちを
“危険”から守ってくれたのです。
このまま進んだら・・・“危ない”
この木の実はなんだか色がおかしいぞ・・・食べたら“危ない”
なんかやばい感じがする・・・。今日はこの辺りで帰ろう。
などなど、ご先祖さまはこの“不安”によって生き延びてこられたのです。
それから時代は数千年たち・・・・現代の僕たち時代になりました。
いま、僕たちが生命の危険を感じる出来事は、身の回りにはそうたくさん
ありません。
でも、僕たちの“危険センサー”はそのまま残っています。
数千年という時間は僕たち個人にとってはとてつもなく長い時間ですが、
生物・種の進化という視点で見ると、ほんの一瞬なのです。
ですから、社会・環境の変化に肉体の進化が追いついていないのです。
なので、この“危険センサー”である“不安”は本来の命の危険以外の場合でも
しょっちゅう鳴り響いてしまうのです。
“ビーッ危険だよ!” “ビーッ危険だよ!” それが“不安”の正体です。
こういう言葉があります。
『恐怖の数の方が危険の数より常に多い(セネカ・ローマ時代の哲学者)』
哲人セネカが生きていたのは約2000年前のローマ時代です。
2000年前といえば、現在社会と比較するとかなり衛生状態や医療
あるいは治安などが整備されていない状態でしょう。
ですから、生命の危険ということで考えれば、今よりはるかに危険は
高かったと思います。しかし、その当時でさえ、セネカは上記の言葉を
残しているのです。
一言であらわすと
『みんなね~、心配しすぎなんだよ。だってさ、みんなが心配してること
なんて、ほとんど起こらないじゃない? 違う?』
ってことなんでしょう(笑)。
そうです、実際には自分が恐れていることは99%起きない、ということ
も言われていますよね。(誰が言ったのか忘れてしまいましたが・・・)
また、こういう視点もあります。
“後悔”は≪過去≫・・・“不安”は≪未来≫・・
そして、私たちは≪今≫しか生きられない。
“後悔”は意識のエネルギーが≪過去≫に縛られます。
“不安”は意識のエネルギーが≪未来≫に縛られます。
僕たち人間は、過去を変えることはできないし、未来をどうすることもできません。
僕たちが唯一出きることは≪今≫だけなのですね。
≪今≫を変えることで、未来を変えるということなら、できるのです。
だから、≪過去≫を“後悔”するのでなく、≪未来≫に“不安”するのでなく、
≪今≫を精一杯生きること、これしかない、という考えかたです。
未来に不安を感じるのならば、今のうちにできることをやっておこう。
対策を考えておこう。誰かにサポートを頼んでおこう。
きっちりと万一の準備をしておこう、下調べを完璧にしておこう、などなど。
不安に囚われ右往左往して≪いま≫という時間を浪費しない。
でも・・・でも、どうしても不安が消えないんだ・・・という方も
いらっしゃると思います。
そういう方にはこういう言葉もあります。
『どうにかできることには勇気を、どうにもできないことには落ち着きを、
その見極めには智恵を』
どうにかできることは“勇気”を持って「えいやっ!」とやってみる。
どうにもできないことには“落ち着いて”、目の前にあること、
できることを≪今≫精一杯やりきる。
その二つを見極める『目』を養う“智恵”を磨く。
“智恵”は経験によって磨かれます。
不安にとらわれず、経験をしましょう。そして智恵を磨きましょう。
そうすれば、今まで危険だと思っていたことが、実はただたんなる
思い過ごしで『幻想』だったということに気づくかもしれません。
刀根 健(とね たけし)氏のご紹介
*資格 産業カウンセラー(初級)、TAインストラクター(上級)
*経歴 TA(交流分析)理論を中心にコーチングスキルやグループワーク、
また人事制度の改革や風土改革などのコンサルティングを得意とする。
企業や病院を中心に活躍中。
*主な著書 快適な人間関係を築く『ストローク・ライフのすすめ』(フォーメンズ出版)
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